半年なのか、1年なのか、それとも3年なのか。
私自身は、単純に「何年習ったか」だけでは判断できないと考えています。
一つの大きな目安になるのは、頭の中にそろばんの珠をイメージして計算できるようになったかどうかです。
そろばんの先にある「暗算」へ
まずは、そろばんの基本的な珠の動かし方を身につける。
そして練習を重ねながら、その力を少しずつ暗算へとつなげていきます。
やがて実際のそろばんが目の前になくても、頭の中に珠の動きが浮かび、2桁、3桁の計算ができるようになってきます。
私は、このあたりまで来ると「そろばんの力が身についてきたな」と感じます。
昔は「そろばん1級を持っていると就職に有利」と言われた時代もありました。
もちろん、今は時代が違います。
それでも、計算の基礎力が高いことは、今の子どもたちにとっても大きな強みになると私は考えています。
半年、1年ではもったいない
もちろん、半年や1年間そろばんを習った経験が無駄になるわけではありません。
ただ、その期間では、まだ暗算の力を十分に発揮できるところまで到達していない子も多いと思います。
せっかく覚えた珠の動きも、そこで完全にやめてしまえば、少しずつ記憶から薄れていく可能性があります。
「石の上にも三年」と言います。
まずは3年、一生懸命続けてみる。その積み重ねから見えてくるものがあると私は考えています。
目標にするなら、最低3級。できれば1級
では、「何級まで取ればいいですか?」と聞かれたらどう答えるか。
私は、そろばん・暗算ともに、まず3級。そして、できれば1級を目指してほしいと考えています。
特に暗算1級まで到達すると、3桁程度の計算を頭の中で処理できる力も身についてきます。
日常生活で扱う数字も、2桁、3桁の組み合わせで考えられるものはたくさんあります。
そこまで暗算力が育ってくると、単に「検定の級を持っている」というだけではなく、実際に使える計算力になってきたと感じます。
有段者になると見えてくる、もう一つの世界
さらに練習を続け、有段者になると、そろばん式暗算の世界は大きく変わってきます。
4桁、5桁といった大きな数字の足し算や引き算、掛け算、割り算を、驚くほどの速さで処理できる子もいます。
そこまで来ると、私自身も改めて「そろばん式暗算ってすごいな」と感じます。
頭の中にそろばんをつくり、その珠を動かして答えを導き出す。
これは、長く練習を積み重ねてきたからこそ身につく、大きな力だと思います。
「辞めたい」と言った時こそ、少し先を見てほしい
子どもが途中で「もう辞めたい」と言うこともあります。
そんな時、例えば6級くらいまで頑張ってきた子を見ると、私は正直「ここで終わるのはもったいないな」と感じることがあります。
なぜなら、そこから先に、今まで積み上げてきた力が大きく伸びていく時期が待っていることがあるからです。
だから私は、
「3級まで来たんやったら、次は1級を目指してみない?」
「1級まで来たんやったら、今度は段位の世界を見てみない?」
そんなふうに、いきなり遠いゴールを見せるのではなく、一つずつ次の目標をつくるようにしています。
長く続けるだけではなく、「一生懸命」を積み重ねる
ただし、長く習えばそれだけでいいという意味ではありません。
何年通っていても、ただダラダラと練習しているだけでは、大きな成長にはつながりにくいでしょう。
大切なのは、一生懸命取り組んだ時間を、コツコツと積み重ねることです。
すぐに結果が出なくても我慢する。
壁にぶつかっても、もう一度挑戦する。
そして、目標までやり切る。
そこで身につくものは、計算力や暗算力だけではありません。
すぐに諦めず、もう少し頑張ってみる力。
最後の最後に、もうひと踏ん張りできる力。
そろばんを通して積み重ねたそんな経験も、いつか子どもたちの人生のどこかで力になってくれたらと願っています。
せっかく始めたそろばんです。
級を取ることだけをゴールにするのではなく、頭の中にそろばんが浮かび、「これは自分の力になった」と感じられるところまで。
私たちも、その成長に辛抱強く付き合っていきたいと思っています。
